歯科治療への考え方

ただ治すだけでは意味がない、未来を設計するのが歯科医の仕事

虫歯があれば削って治す。ただ目の前の症状を治療するだけであれば全ての歯科医のできることでしょう。しかしそれだけでは意味がない、さらにその先を診てあげることが、私の歯科治療に対する考え方です。

症状で悩んでいる歯を治すだけですと、虫歯のできやすい人はまた別の虫歯に悩まされて来院することになります。これではきりがありません。虫歯になる原因を探って見つけてあげて、対策を一緒に考えてあげなければ、本当の治療とはならないのです。

例えば虫歯予防で最も欠かすことができないのはシュガーコントロール、砂糖の取り方です。甘いものを我慢するというのは人生の楽しみを奪うことになってしまうので、そんな無理なことは言いません。私が提案したいのは砂糖を摂取するペース。職場などで缶コーヒーを飲むとき、少しずつ口をつける方がいますが、定期的に糖分を摂るのは虫歯菌に餌を与えているようなもの。一口につき2時間、歯が溶けます。こういう習慣の方はすぐに虫歯になってしまうのです。

ですから砂糖を取るにしても、なるべく虫歯菌が繁殖しないような取り方をするべきです。こういったことを普段の治療に加えて、患者さん一人一人にアドバイスするのが私の虫歯治療です。他にもフッ素塗布や虫歯菌自体を減らす方法など、治療は様々ありますが、メインはやはり患者さんの習慣を変えて、原因を断つことが最優先です。

このように私の治療では、症状の原因を追求することに主軸を置いています。例えば歯が抜けやすく入れ歯やインプラントを余儀なくされている人であれば、そもそもなぜ歯が抜けるのか、それは噛み合わせが悪いからではないか、といったことを患者さんと一緒に考えていきます。そして今抜けてしまっている歯をどのようにフォローしてあげることで、他の歯がそのままでいられるかについても検討していきます。

患者さんが10年後も今の状態を維持できるように。患者さんの歯の未来を設計してあげることが歯科医の務めであると私は考えています。

健康寿命の長い人は、歯のきれいな人

ではそもそもなぜ、歯を健康にしておくことが大切になってくるのか。歯ができるだけそのままの状態で残っている人ほど、体全体も健康でいられ、人生をより楽しむことができているからです。

健康寿命という言葉を最近よく聞くようになりました。これは、介護を必要とせず、自分で立って好きなように生活できる期間のことをいいます。この健康寿命は、歯がきれいな人ほど長いというデータが実際に出ています。しっかり噛める、しっかり食いしばれることで、自分一人の力で立って歩くことができるのです。

私たちは患者さんが一日でも長く健康な生活を送っていけるよう、歯をきれいな状態に保つお手伝いをしています。そのためにはやはり、患者さんとの協力の元、未来を見据えた治療が大切となってくるのです。

一生自分の趣味ができて、一生好きなものを好きなだけ食べられて、一生気兼ねなく笑っていられる。患者さんにそうなっていただくことが歯科医の最大の使命であると私は感じています。

同じ気持ちを持って歯科に取り組んでくれる人が増えれば

以上のような私の歯科治療に対する考え、取り組みに共感してくれる歯科医院が増えれば、歯科はより全ての人にとって有益で欠かせないものとなっていきます。目の前にある症状の治療だけでは医療として不足です。患者さんの体全体の健康を考え、患者さんが一生幸せでいられる治療の仕方はどんなものかを追求していける治療が、本当の治療であると私は信じています。

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